正美に指示されるまま、ミズキは用意されたケーキを切り分けたり、既製品の菓子を皿に入れたりした。
ナナセはそういう作業に不慣れながらも、他人の家のグラスや皿を傷つけないよう、丁寧な手つきでプレートの上に並べていく。
普段、ミズキの手料理をご馳走になる時にいろいろなことを手伝っておいて良かった、と、彼は思った。
正美は二人の手際を見て、ため息をつく。
「あなたたちを試したかったわけじゃなくて、純粋に手伝ってほしくてこうしてお茶を出すお手伝いをお願いしたのに……。
私は知らず知らずのうちに、あなたたちの手元や動きばかり見てた……」
その言葉を耳にして、ミズキとナナセは用意を終えた手を止める。
「この間まで、ここでメイちゃんを預かっていたんだけど……。
その時、料理を食べる時のメイちゃんの手つきや、洋服の扱い方ばかりが目について……。
無意識のうちにそうなってたわ……。
そのたびに、私は嫌な気分になって。
……ごめんなさいね、こんなつまらない話をして」
正美は取り繕うように笑ってみせる。


