ミズキはまだ、未熟な学生だ。
精神科の世界を、まだ十分の一も知らない、若すぎる存在でしかない。
けれど、心の傷の恐ろしさを知っている。
身内が亡くなる辛さや、子供を失った親の痛み。
助けることができたはずの命を、死に急がせてしまったことの悔しさ。
無念と憤り。
もう二度とそんな思いはしたくなかったし、自分以外の人にもそんな思いをしてほしくなかった。
リクやメイに、幸せに満ちた人生を歩んでほしい。
心からそう願っている。
メイは、育った環境の劣悪さゆえに、リョウを傷つけていた。
数え切れないほど、間違ったことをしてきた。
それらは決して許されることではないけれど……。
「穂積さんは、陰でたくさん泣いていたはずです。
リク君は、それを感じ取っていたからこそ、ずっと穂積さんのそばを離れなかったんだと思うんです……。
流した涙の分、穂積さんに幸せが訪れるように……。
私にも何か手助けができないかな、と、思うんです」


