メイの足にはアイスノンが置かれていた。
「つぅ……」
メイは痛みに顔を歪めている。
「メイ、何されたの?」
リクはそのアイスノンをどかそうとしたが、そうしなくてもはっきり見えた。
アイスノンより大きな、赤くただれた皮膚…………。
リクは思わず声を張り上げた。
「……それ!! どうしたんだよ!?」
「大声、出さな…いで……。
ここに…ひびく……」
「ごめんっ!!」
メイはいつもの冷静な顔を崩し、苦痛ににじんだ声を出した。
リクは彼女の真新しい傷口を見て、翔子の言っていた《ヤケド》の意味を理解した。
何かでメイの患部を冷やさなければ。
そう思い、リクが台所のシンクに手を伸ばそうとすると、そこには大きなヤカンが乱雑に投げ込まれていた。
ヤカンの中身は空になっていたが、そっと触れると、まだ温かい。


