昨夜、メグルからメイの家庭の話を聞いた清は、メイがこの部屋を抜け出すことを予感していた。
清は、スウェット姿のメイを優しい眼差しで見つめ、
「まだ、顔が赤いじゃないの。
喉が渇いたのかい?
何か持ってこようか?」
「ちょっと、出かける……」
それだけ言い、メイは清の横を無言で通り過ぎた。
すると、頭にふわりとあたたかいものが触れる。
メイの頭に、淡い水色の毛糸で出来た帽子が被せられていた。
それは、今、清が編んでいた物のようだ。
「やっぱり、メイちゃんによく似合うね」
柔らかく笑む清に、思わずメイは振り返ってしまう。
「寝てばかりじゃ退屈なのはわかるけど、外は寒いし、メイちゃんはまだ体調が良くなってないんだから、寝てなきゃダメだよ」
「……んで……」


