弁護士のフリをして近づいてきた宇都宮の顔が頭に浮かび、メイは気持ち悪くなった。
誰のことも信用できない。
いや、信用するのがこわい。
メイの荷物を引き取るため、いま、穂積家に向かってくれているメグルのことですら……。
人間全てが恐ろしい。
皆、何を考えているのかわからない。
何もかもが、自分の敵に見える……。
そう思うと、自分の人生の先が見えすぎで、メイは真っ暗な気持ちに包まれた。
青い空なんて、自分には一生見れないだろう。
幸せな笑顔を浮かべた人間のことを、妬みながら生きていかねばならないのだろう。
そしてそのまま歳を取り、誰からも疎(うと)まれるような怪しい女となって、最後は一人、孤独な屍(しかばね)となり、土へ帰(き)すのだ。


