その頃メイは、メグルの部屋に敷かれた布団の中で、熱くて重たい体で寝返りをうっていた。
さきほど清が取り替えてくれた氷枕が、髪の毛越しに皮膚に伝わり、気持ち良い。
――自分がいかに母親に嫌われているのかを思い知った昨日。
信頼しかけていた宇都宮の正体を知ったメイは、ここに存在する意味が見出だせず、死んでしまいたいと思った。
この世から消えてしまえば、こんな下らない悲劇に幕を下ろすことができる。
そう考えて……。
だが、ナイフを万引きしても、そのパッケージを取り外す勇気が出なくて……。
気持ちでは死にたいと願うのに、体は生きることを選ぶ。
その矛盾に苦しみ、憤り、そんな自分に呆(あき)れすら覚え、リクに「殺してほしい」と頼んだ。
メイの予想通り、リクは最初、メイが死ぬのを嫌がった。
ナイフをメイに向けることも、頑(かたく)なに拒否して。


