メグルを先頭に、マナ、シュン、ナナセは、2階にあるリクの部屋へと続く階段を上っていく。
ミズキもそれに続こうとした時、正美に呼び止められた。
「あの……。ちょっといいかしら?
こうしてお見舞いに来てくれたということは、あなた達は、リクがずぶ濡れで帰ってきた理由を知っているの?」
「……はい」
本当のことを話すべきかどうか、ミズキはかなり迷ったが、正美がリクを心底心配している様子を感じ取れたため、本当のことを話すことにした。
メグルから聞いた、メイとリクの会話のこと。
その時二人はずぶ濡れだったということ。
ありのまま、正美に話す。
正美の表情は激しく揺れ、ミズキの話が進むほどに陰(かげ)り、最後はうつむいてしまった。
みんなの背中はリクの部屋の中へと消えていったが、ナナセだけは階段の中間あたりで立ち止まり、ミズキと正美の会話を聞いていた。


