正美が口を開こうとしたその時、訪問者が来たことを示すインターホンの音が部屋中に響いた。
「お父さんかしら?
今日はなんだか早いわね……」
正美は弾かれたように立ち上がると、リクの部屋を出て階段を下り、玄関へ向かった。
メイの自宅で、偶然にもメグルと出会ったミズキ達は、リクの家にたどり着いた。
インターホンを押して中からの反応を待つ間、ミズキはリクの自宅の隣に位置する空地を見て、
「ここに、穂積さんの家があったらしいよ」
と、メグルに話しかけた。
草木が生えっぱなしで、所々に枯れ草が混じった土の地面。
メグルはその空地へ近付いて、しげしげと中を見渡していた。
「ここに、メイんちがあったんだ……。
リク君は、生まれた時からメイのこと知ってるんだね」
かつては家が建っていたとは思えないほど寂れたその面影(おもかげ)のなさに、ただただ圧倒されるメグル。


