ミズキとマナは、悩んでいる人の心を助ける職業につくために、臨床心理士の資格取得を目指して大学に通っている。
さすがの正美にも、メイを精神科に連れていくという考えはなかったようで、この時初めて、リクの話に耳を傾ける気持ちになった。
熱のせいで重たかったリクの体は、メイへの想いを口にしていくうちに、だいぶ軽くなっている気がした。
「それに……。俺は、メイと結婚したいわけじゃない。
メイの子供がほしいわけでもない。
そういう未来のことより、ただ、今、メイのそばにいたいだけなんだ。
……ミズキちゃんもマナちゃんも、カッコイイ彼氏に支えてもらって、悩み事があっても幸せそうにしてる。
俺も、いつかメイをそういう顔にしてあげたいんだ。
今まで虐待されて傷ついてきた分、笑わせてあげたい……」
「そう……。
……リクに、そんなお友達がいたのね……」
正美はしばらく、腕を組みながら瞳を閉じて考え込んでいた。


