しゃぼん玉



星崎家を後にしたリクは、ナナセに預かった金をメイに届けようとしていた。


「メイ、今日は帰ってるかな……?」

メイの自宅に着き、呼び鈴ボタンを押そうとした。

その時、

「やめてよ!!」

抵抗を示すメイの怒鳴り声の後に、鼓膜が破れそうなほど大きな彼女の悲鳴が聞こえた。

「メイ……!?」

ただ事ではないと察し、リクは玄関の扉をガンガン叩く。

「メイ!! どうした!?


……おばさん!!

いるんだろ!?

ここ、あけてよ!!」

メイと共に居るであろう彼女の母親に向けて、必死に叫んだ。


この借家の周りには民家がない。

人通りも少ないので、メイが母親に何かをされて悲鳴を上げても、誰かに気づかれることはない。


リクはメイの名前を呼び続けた……。