「母さんさ、さっきいろいろ言ったよね。
虐待されたことのある人が結婚しても離婚するとか、自分の子供を可愛がらない可能性があるとか。
でも、メイはそんな冷たい人間じゃない。
昨日、メイは俺から離れようとした。
母さんから手切れ金をもらったから、って……。
それに、俺の受験のこと心配してくれた。
メイは、自分もつらいのに、俺の受験勉強をしろって言ってくれた!
たとえそれが強がりだったとしても、嬉しかった。
それに、病院には精神科だってあるんだ。
もし、俺だけじゃメイの傷を治せないのなら、悔しいけど、精神科の先生にもお願いする……。
最近、そういう、心の病を治す職業を目指して勉強してる友達ができたんだ」
リクは、ミズキとマナのことを口にした。
「心の傷は、目に見える体の傷と違って、複雑な形をしてるのかもしれない。
でも、治らない傷じゃないはずなんだよ!」
「リク……」
正美は戸惑いを隠せなかった。


