しゃぼん玉


リクは悲しげな瞳をしながらも、口元を柔らかく緩めて言った。

「俺、メイといて幸せだよ。

たしかに、母さんの言う通り、メイは他人に無関心だし、そっけないけど……。


同じ重さの愛を返してくれなくたって、かまわない。

メイのそばにいるだけで、幸せなんだ」

優しい瞳でそう言うリクを見て、正美は悲しみの涙を抑えることができなかった。

震える声で、こう返す。

「なんで? リク……。

どうして、メイちゃんじゃなきゃいけないの?

学校には、たくさん女の子がいるじゃない……。

なのに、どうして、わざわざ他校に通う、しかも、家が遠いメイちゃんじゃなきゃダメなの?

もう、メイちゃんは隣の子でもなんでもないのに……!」