しゃぼん玉


リクは、体中を風邪菌や薬に操られているもどかしさを感じつつ、絞(しぼ)り出すような声で、両親への想いを訴えた。

「なんで……父さんと…母さんは、俺からメイを遠ざけようとするの……?

俺が、昔から無謀なことばっかり…するから?


メイにまでお金渡して……。


俺とメイの関係は、俺とメイだけのものなのに、どうして母さん達が勝手に操作しようとするの?

なんで、メイのことを悪い風にしか見てくれないの?


俺に何も言わずに、メイを消そうとしたのはなんで?


父さんと母さんは、本当は俺のことが嫌いなの……?

そうとしか思えないよ………。もう」

「リク……。そんなことあるわけないじゃない……!

リクは私達の大切な、自慢の息子よ。

かわいいし大好きだから、いろんな悪いものから、リクを守りたいと思っているだけなの……」

だが、正美の心はリクには理解できなかった。

リクは、正美と義弘がメイに手切れ金を渡した、という事実をメイに聞かされ、深い悲しみを覚えていたのだ。


昨日はメイと話をするのに夢中で、リクの頭からお金のことは飛んでいたが、一日中部屋にいたことで、昨日のことを深く考えてしまっていたのだった。