昨夜、公園で聞いてしまったメイとリクの会話。
メグルはそのことについて話すことにした。
ここにいるミズキ達のことを深く知らないが、みんながメイを心配して動いていることを、メグルもなんとなく分かっていたから……。
今、穂積宅で顔を合わせたという偶然が、メグルのミズキ達に対する信頼を強くしていた。
メグルはこぼれてやまない涙を制服の上に着たカーディガンの袖口で拭い、
「メイのお母さんは、メイを男に売ろうとしてたんだ。
昨日メイが、リク君にそう言ってた……。
ウチのばあちゃんも言ってたんだ。
メイのそばに怪しい男がいるから、気をつけてあげてって……。
前に、メイの叔父さんって名乗る男の人が、メイに会うため学校まで来たんだけど、その人がばあちゃんの言ってた人かもしれない。
メイはちょっと変わってるし、周りにいないタイプの子だとは思ってたけど、そうなるの、わかる気がした……。
こんなとこに住んでたら、メイがボロボロになっちゃうよ……」
メグルは、次から次へと溢れてくる涙を抑えることができなかった。
「メグルちゃん、話してくれてありがとう……」
ミズキはメグルの背中に手を回して優しくさする。
マナはカバンの中からポケットティッシュを取り出し、それを数枚メグルの頬に当てた。
シュンとナナセはメグルを心配しながらも互いに視線を合わせ、穂積翔子のことを考えていた。


