「この声……。

ミズキちゃん……?」

聞き覚えのある、顔見知りの声を耳にしたメグルは、緊張で吹き出していた汗が引いていくのを感じながら、まだ汗ばんでいる手で押し入れを開き、外に出た。

自分の家でそうしているように、自然に玄関に向かって、外にいる相手を出迎える。

ミズキ達は、穂積宅の中から出て来た明るい表情の女の子に、和やかな笑顔を見せた。

メグルの明るい雰囲気に触れ、ミズキ達はほっこりする。


「メグルちゃん、どうしてここに?」

ミズキが尋ねると、メグルは話した。

メグルは、今、体調を崩して眠っているメイの話と、そんなメイの代わりに彼女の荷物を取りに来たと話した。

話が進むほどに、太陽のように明るい笑顔が魅力的なメグルの表情は、雲に覆われたように曇っていく……。

「メイんちのこと悪く言いたくないけど。

メイは、こんなとこにいちゃいけない……。

昨日、あたしね……」

メグルの言葉が途切れたかと思うと、その瞳からは透明なものが流れていた。