中学時代、ミズキには宮原ヒデトという恋人がいた。
ナナセは、自分に情けなさを感じると同時に、ヒデトのことも考えてしまう……。
“やっぱりミズキちゃんは、元カレともこうしてたのかな……。
そうだよね。付き合ってたんだし……。
その時は、どうしてたんだろ……。
元カレは、どうやってミズキちゃんを……。
俺みたいに消極的な人相手じゃ、やっぱりミズキちゃんは不満かな?”
「ナナセ君?」
ミズキは、ボーッとしているナナセの顔をのぞきこんだ。
「なっ、なに?」
ミズキの声によって現実に引き戻されたナナセはあからさまに驚き、逆にそう訊(き)き返してしまう。
「ナナセ君、ぼんやりした顔もいいねっ」
ミズキは屈託(くったく)なく笑った。


