しゃぼん玉


予想していなかった背中のぬくもりに、ナナセの心臓は飛び出しそうになった。

「ミズキ…ちゃん?」

声が裏返ってしまう。

そんな自分が情けないし、かなり恥ずかしい……。

「ナナセ君、あったかい」

ミズキは、腕の力を少しだけ強めた。

「………………」

ナナセは、積極的なミズキに口を開けなくなる。

引いているのではない。

むしろ、すごく嬉しい……。

ミズキの優しい匂いと柔らかい感触がして、体の奥にぼんやりと濃い熱を感じる。

しかし、これまで女性経験が全くなかったナナセにとって、その壁はとても大きなものに感じられた。