今になってやっと、リクはメグルに追いかけられていたことに気付き、放心した。

「こんなのダメだよ!

メイが死ぬなんて、嫌だ!」

メグルはずぶ濡れのメイを力一杯抱きしめ、泣いて訴えた。

その姿が、リクの胸を打つ。


「俺、いま……」

自分がしようとしていたことにショックを受け、リクはその場で尻から座り込んでしまう。

メグルはメイを抱きしめたまま泣き続けた。


いつの間にか、やんでいた雨。

湿気でいっぱいになった空気が、風に流れる。


メイとリクは、目の前の冷たい現実に、ただただ身をおくしかなかった。


メイはメグルの体温を感じたことで、こわばっていた全身から力が抜けていくのを感じた。

“あたたかい――”



メグルの嗚咽(おえつ)がおさまる頃、メグルは一旦メイから離れ、

「リク君、メイのことはあたしに任せて?

ばあちゃん達も、メイのこと心配して家で待ってるんだ。


リク君も、今日はもう帰った方がいいよ」