リクの話を聞き終え彼を見送ったミズキ達は、今後のことについて話し合う。
ナナセが穂積メイ宛ての金をリクにたくしたので、しばらくは静観するという意見にまとまった。
「ナナセ。お前がミズキを迎えに来れなくても、俺達がいるから安心しろ」
「ミズキちゃんも、しばらくは気をつけてね?
リク君の話を疑うわけじゃないけど、穂積メイがどう出てくるかは、分からないから……」
シュンとマナは、そう言い残し帰っていった。
二人はこれから、それぞれに予定がある。
ミズキは、昼間の自由時間を割いてくれたマナとシュンにお礼を言い、玄関先で二人を見送った。
静まり返ったリビングには、ナナセとミズキだけが残る。
隣の和室にあるリョウの仏壇では、線香の細い煙がふわりと揺れている。
リクが帰り際に手を合わせた時に、焚(た)いてくれたもの。


