マサヤが浮気していたら、別れるのか?
それとも、何も知らないフリをして付き合い続けていくのか?
マサヤを問い詰めて、改心させるのか?
アイリは、そのどの選択肢にも自信がなかった。
浮気を問い詰めたところでマサヤは逆ギレしてだんまりを決め込むだけだろうし、かといってアイリには、浮気を見て見ぬフリをする演技力もない。
別れる勇気も、持てない。
マサヤを好きな気持ちを、一瞬で消すことなどできそうにない。
だが、その心配は杞憂(きゆう)に終わった。
画像ファイルからも、マサヤの浮気を決定づけるものは出てこなかった。
マサヤの大学仲間達が楽しそうに笑っている画像や、アイリとマサヤのツーショット写真ばかりが入っている。
“マサヤ……。
こんなに前の写真まで取っておいてくれたんだ”
緊張感がとけ、アイリの頬は自然と緩む。


