照明が落とされた暗い室内で、マサヤは寝息を立てていた。
憎たらしほどふてぶてしい昼間の表情とは違い、無邪気な寝顔をしている。
“マサヤ、嘘ついてごめんね……”
マサヤの寝顔を見て、アイリの胸はチクリと痛んだ。
マサヤは、アイリが帰ったと思ったからこそ、こうしてケータイをほうり出し、無防備に睡眠を取っているのだ。
心臓の音を全身で感じ取りながらも、アイリは何とかマサヤのケータイを手に取る。
何かの拍子に彼が目を覚ましてしまうのではないだろうかとビクビクしながら、じっとり汗で湿った両手で、目的のケータイを操作した。
普段自分が使っているケータイではないから、非常に扱いづらい。
“マサヤ、頼むから起きないでね!!”
あらゆる緊張で指先が震えた。


