彼らは、談笑しながら古びたゲームセンターへ入っていった。
古さゆえ、歓楽街の中でも一際目立つ店。
ほとんどの客が新しいゲームセンターの方に流れるせいで、店内は外より静かだった。
宇都宮達に見つからないように、メイは心臓の音をごまかすように、彼らの様子を見ていた。
すると、ゲームセンターの店員らしき人物が出てきた。
ヒゲを生やした、50代くらいの男性。
宇都宮はその男と二、三、言葉を交わした後、普通の客は気がつかなさそうな店の奥部屋へ入って行った。
メイはその男に見つからないように息を殺しながらレトロなユーフォーキャッチャーの影に身を隠し、宇都宮達の背中を追跡した。
薄暗い店内。
何年か前から経営難に陥(おちい)っているような、ボロボロの床。
女子高生達の騒がしい話し声のおかげで、メイの存在は気付かれずにすんだ。
宇都宮達が入っていった部屋の扉の上の方には、30センチ四方のガラス窓がついている。
メイは、彼がなぜこんな所に来ているのか不思議でならなかった。
“なんでこんなところに……?
弁護士の仕事、ではないよね?”
メイは背伸びをして、首より高い位置にあるその小窓の中をのぞき見た。


