しゃぼん玉


メイの予想通り、なじみのファミレス付近に宇都宮の姿を見つけることができた。

だが彼は、いつもメイと会う時の雰囲気と違っていた。

格好からして違う。

メイと会う時のような爽やかなスーツ姿ではなく、どちらかというとホストを彷彿(ほうふつ)とさせる派手なスーツとネクタイを身につけていた。

そのせいか、人相まで違って見える。

だが、彼に話を聞いてもらいたい気持ちは変わらない。

メイは、人の波を必死にかきわけ、宇都宮の方へ近づこうとした。


しかし、数秒後、メイの足は凍りつき、目の前の光景に衝撃を受けることとなった。

なぜなら、宇都宮の周りを取り囲むように、メイとは違う学校の女子高校生達の群れが出来たからである。

それは一瞬の出来事で、何が起きたのかすぐには理解できなかった。

“宇都宮さん、一人でいたんじゃなかったの……?”

メイの思考は停止。

すれ違う人と体がぶつかった瞬間に、意識を引き戻される。


宇都宮が、大勢の女子高生と楽しそうに話している。

彼はメイの視線に気付かぬまま、遠ざかっていく。

メイはハッとし、宇都宮達の後を追った。