しゃぼん玉


その後、正美は何度もメイに謝り、そして帰って行った。

メイを一人、喫茶店に残して……。


『リクと関わってほしくない理由』

正美は最後までそれを口にはしなかったが、メイは正美の本音を察していた。

リクの両親にとって、メイがリクに関わることは不都合でしかないのだ。

その理由がどういったものであれ、200万という大金をメイに渡して、リクに関わるなと言ってきた。

それほど正美は、リクをメイから遠ざけたいのだろう。


正美がこんな寂(さび)れた喫茶店にメイを連れてきた心境も、納得がいく。

人前でできる話ではあるまい。

ましてや高校生に大金を渡すところを、事情を知らぬ他人に見られたら厄介なことになる。

そういった正美の考えが、メイには全てわかっていた。