リクは、全く表情を変えないまま、

「シュンさんやマナさんやミズキさんは、幸せ者ですね。

両親に恵まれていたんでしょ?

そんな人に、メイの気持ちが理解できるわけがない」

「はぁ!?」

「親なんて関係ないじゃん、今は!」

シュンとマナは露骨に嫌悪感をむき出しにする。

だが、ミズキとナナセは、リクの話をまともに聞き入れていた。

「それ、どういうこと?」

ミズキはリクに尋ねた。

ナナセもミズキと同じ表情をしている。

マナとシュンは怒りを抱えながらも、ミズキの気持ちを察し、リクの話を聞く態勢になった。


リクは皆の顔をサッと見渡してから、

「児童養護施設……。

小学生の頃、メイはたびたびそこに入ってました。

親に虐待されて」


皆、息を飲んだ。