その瞬間、マナはリクの頬にビンタをした。

渇いた音が痛々しく響く。

考えるより先に、手が出てしまった。

「ミズキちゃんがこんなに泣いてんのに、何? その態度。

開き直ってんの?

イジメを正当化しようなんて、腐ってる。


私だって、小学生ん時いろいろ嫌な目にあってきた……。

でも、人を傷つけようなんて思わなかった。

そういうもんじゃないの?

自分が受けた苦痛を他人にも、なんて、私はそんな考え持てなかったよ。


自分が辛いからって他人を傷つけるなんて、許されないんだよ!

都合のいい言い訳だ!!」

「そうだぜ!

謝るどころか、リョウの写メちらつかせて金せびるって、穂積はどんだけ腐ってんだよ!!」

シュンもマナに加勢する。

ミズキはそんな二人の気持ちが切ないくらいに嬉しく、背中をさすってくれているナナセのぬくもりも手伝って、張り詰めていた気持ちが和らいだ気がした。


だが、マナに頬を叩かれ、シュンにそこまで言われても、リクは冷めた表情をしている。