翔子は離婚をしてから、よりいっそう、メイに当たるようになった。

翔子は、離婚の原因はメイにあると思っているからだ。


なぜなら……。

メイは、実の父親であり翔子の夫だった男に性的虐待を受けていたから。


初まりは、メイが小学二年生の時。

翔子にかまってもらえない寂しさから、メイはよく、父親の布団に潜り込んでいた。

そこは、唯一の甘えられる場所だった。


父親はメイの期待を裏切ることなく、彼女の頭をなで、抱きしめ、可愛がってくれた。

けれども、父親のその手は、いつのころからかメイの体をまさぐり、それはエスカレートし、あげくの果てには…………。


そんな父親からの行為は、二年間に渡り行われた。

メイは、それがいけないことだと知らず、受け入れ続けていたが……。


メイが小学四年生になった頃、その行為の痕跡を見つけた翔子が、夫に離婚を申し出た。

メイは、泣く泣く実の父親と別れることになり、それ以来、二度と会えなくなってしまった。


父親は、元居た家にはおらず、娘にしたことへの罪悪感から、どこか遠い土地へ引っ越したそうだ。