翔子がメイを大切に育て、愛してくれるような母親だったら、あんなバカな翔子の行いにも人間味を感じて、愛おしさを感じたりもしたのだろう。

けれど、どうあがいたって、メイは翔子を好きにはなれない。


勝手に生んで、

勝手に離婚して、

勝手に虐待して……。


虐待の内容は様々だった。

食べ物を与えてもらえない。

あるいは、無理矢理口の中に突っ込まれる。


そして、言葉の暴力――。

『あんたのこと、産みたくて産んだんじゃないから』

“なら産むなよ”


『ほんとバカね、あんたって。

他の子が出来ることを、何であんたは出来ないの?

恥ずかしかったぁ……』

“他のヤツと比べんな”


思い出すのもむなしいくらい、実の母親からそんな風に言われて育ってきたメイ。

物心ついた時からそんな扱いを受けていたのでは、翔子のことを母親とは思えないし、思いたくもない。