しゃぼん玉


最近マサヤとうまくいっていないアイリにとって、ジムで一緒にトレーニングするナナセが唯一の相談相手だった。

ナナセはいつも、真剣に話を聞いてくれるから……。


同じ大学に女友達もいるのだが、みんな口をそろえて、

「別れた方がいい!」

「ありえない!

最低な男だね!」

としか、言わない。

みんな、心配してそう言ってくれるのだということはわかっているし、アイリもそれは嬉しく思っている。

アイリも、もし自分がその友達の立場だったら、迷わず別れをすすめるだろう。

でも、いざ自分のことになると、踏ん切りがつけられないでいる。

アイリは、別れ以外の選択肢を模索していた。

まだ、マサヤを好きな気持ちを手放せないでいる。


その点、ナナセはいつもアイリの気持ちに同調してくれるし、「ああした方がいい!」という、強い物言いはしない。

なので、解決の糸口を見つけるためにも、ナナセの意見が聞きたかった。