しゃぼん玉


マナもうなずき、小さな唇をニコッとつり上げる。

「私達も、やれるだけのことはするつもりだから。

穂積さんが、少しでも楽になれるように」

リクはミズキ達の決意に感激し泣いてしまいそうになったが、シュンがその隙(すき)を無くすようにこう言った。

「ずっと引っかかってたんだけど、穂積のやつ、ケータイ持ってないんだよな?」

それに対し、リクが答える。

「うん。持ってないよ。

おばさん、メイにはお金をかけたくないらしくて、ケータイは渡してないらしいよ。

前に、メイがグチってた。

メイはメイなりに通信手段がなくて、不便に思ってたし……」

ミズキは二人の会話を耳にし、腕を組む。

「そうなんだよね……。

穂積さんは、たしかにケータイの画像を私に見せてきたよ?

その色も覚えてる。

黒いケータイだった」


すっかり暗くなった夜道。

人通りの少ない街灯の真下で、一同は首をかしげた。