しゃぼん玉


マサヤはアイリの気持ちなど全く気にせず、

「いいじゃん。

いま生理じゃねえだろ?」

一瞬で優しく変わったマサヤの声音に、アイリは不快感しか湧かなかった。

最近ずっと感じていたことだったが、マサヤにちゃんと愛されている感じがしない。

それでもアイリは、マサヤの柔らかい口づけを拒否出来ずにいた。

“マサヤは不器用なだけで、本当は私のことちゃんと好きなのかな……?”


マサヤの愛撫に、体中がジワジワと甘い熱に浮かされそうになる。

“さっきのこと、許そうかな”

アイリがそう思い始めた時、

「メイ…………」

マサヤが低く、つぶやいた。

アイリの熱は、一気に冷めていく。


「メイって誰……?」

「え……?」

マサヤは、他の女の名前を呼んだことに気づいていないようだ。