しゃぼん玉



その頃。

ナナセのジム友達·大垣アイリは、彼氏·宇野マサヤ(うの·まさや)の家にいた。


今、マサヤの自宅には両親がいない。

なのでアイリは、マサヤにコンビニ弁当を差し入れ、一緒に食べようとしていた。

マサヤは弁当のビニールをはがしながら、

「お前、ジム行ってるわりに全然痩せてねえじゃん。

意味あんの?

つーか、お前もそれ食うのかよ。

太るからやめたら?」

「私、ジムでいっぱい頑張ってるんだよ?

今日だって、お昼サラダだけにしたし……。

それに、マサヤと夜ご飯一緒に食べたかったからこうして……」

マサヤの言葉が悲しくて、アイリはうつむいた。

「あーもー。お前うざい。

いちいち泣くなっつーの。

太ったって言われたくないなら、何も食うな」

「…………っ」

マサヤはアイリの話相手をするのが面倒になったようで、弁当を一口食べると、アイリに覆いかぶさった。

「やっ、ちょっと……」

アイリはベッドに押し倒される。

だが、そんな気分になれなかったアイリは、マサヤから顔をそらした。