しゃぼん玉


宇都宮のその発言が、メイに対する翔子の恨みを深めた。

「メイがあの容姿で生まれてきたのは、私の娘だからよ!!

もう、無理矢理でもなんでもいいから、さっさとやっちゃってよ!!」

宇都宮は興奮する翔子をなだめるように、

「まぁまぁ、慌てないで。

あの手の子は、無理矢理やっちゃうとこっちが犯罪者扱いされちゃうから。

そしたら翔子さんも危険だよ?

リク君みたいな厄介な子もいるし。


メイちゃんの居場所はわかってるんだし、そんなに怒らないで」

翔子の恋人が下品な笑みを見せ、口を開いた。

「なぁ宇都宮。

もしメイちゃんの写真が撮れたら、俺にも見せてな?」

翔子はそれに対して何も言わず、ただ、歯を噛み締めていた。

メイが憎い。

その気持ちだけで翔子は動いている。

母親なんていう役割におとなしくおさまる気はない。

わずらわしいから、自分の利益のために利用してやる。

そう思った。


メイは気づいていなかった。

母親の悪意に。

宇都宮の正体に。


リクも、宇都宮に信頼感を寄せていた。

まさかメイの母親がそこまでするとは、全く考えてはいなかったのだ……。