しゃぼん玉


翔子の恋人は、面白そうにこう言った。

「にしてもメイちゃんはホント可哀相な娘だよなぁ。

お母さんにこーんなに恨まれちゃって。

まさか、母親が娘の体を男に売ろうとしてるなんて、夢にも思っちゃいないだろうし」

「あの子は私から全部を奪ったの……。

夢も、夫も、幸せも……。

だから当然よ。

娘だなんて、思ったことない。


それに、あの子はもう処女じゃないんだから問題ないわよ。

どうせ、リク君ともよろしくやってるだろうしね。

あの子にはそれ以外の価値、何もないの」


翔子は、宇都宮に頼んでメイと性行為をしてもらい、宇都宮にその写真を撮らせようとしていた。

翔子は宇都宮にメイの体を“提供”した報酬として、宇都宮から金銭をもらうことになっている。

だが、現状、メイは宇都宮に体を許していないので、その報酬を手に入れることができず、翔子はイラついていた。


翔子に宇都宮を紹介したのは、ここにいる翔子の恋人だ。


宇都宮は嬉しそうにため息をつく。

「この商売始めてこんなに手こずったのは初めてだ。

メイちゃんのことは正直めんどくさくもあるけど、あの子には時間をかけて近付くだけの価値があるね。

あんなに可愛い子、めったにいないし。

楽しみだなぁ」