しゃぼん玉



宇都宮はメイと別れた後、そのことを電話でリクに報告し、そのまま穂積家に向かった。

薄暗くなってきた道を抜け、

「翔子さーん。入るよー」

家の中、翔子は恋人の男と絡み合っていたが、宇都宮の姿を見てパッと体を離すと、仏頂面で、

「ねえ!! まだメイの写真撮れないの!?」

と、宇都宮をまくし立てた。

宇都宮は眉を下げ、

「逆に訊(き)くけど、ホントにやるの?

俺、あんな難しい子だなんて聞いてないよ~。

弁護士のフリまでしてんのに、全然手応えないし。

慣れないことすると疲れるねぇ」

宇都宮は自分の手で自らの肩をもむ。

「何言ってんの!?

メイが気を許せば、すぐ撮れるわよ!!

もうちょっと頑張ってよ!!」

すると、翔子のそばであぐらをかいていた翔子の恋人が、口を開いた。

「メイちゃんがこの家に戻ってくれば、無理矢理襲うことも出来るんだけどなぁ」

翔子は執念深い目つきで、男を睨みつける。