高校生の頃、シュンはたくさんのバイトを経験していた。
その中で一番時給のよかった、居酒屋の調理の仕事をリクに紹介することにした。
高校生だと遅い時間は働けないが、それでも放課後の数時間だけでもかなり稼げるし、客と直接関わらない仕事なので、学校にもバレにくい。
リクは目を輝かせ、そのバイトに行く気満々になった。
シュンは嬉しそうにリクの背中を押し、
「じゃ、今からさっそく行くか」
「はいっ!!」
みんなで一緒に、その居酒屋に出向こうと立ち上がろうとした時、リクのケータイが明るい流行曲を大音量で流した。
「あっ! 宇都宮さんからだ!」
リクは宇都宮からの電話を取る。
穏やかだった皆も、一瞬で真剣な顔つきになった。
その電話が終わると、ミズキは尋ねた。
「穂積さんのこと?」
「はい!!
宇都宮さん、今日メイに会えたみたいで、メイと色々話したって。
今メイは、クラスの女子のウチに泊まってるらしいっす。
よかったぁ……」


