次の瞬間、リクはみんなが仰天するような大声で、
「シュンさんって!
あの!! 橘シュンさんですかっ!?
去年のイヴに、ホテルエターナルに立てこもった犯罪者のところに乗り込んで、命を落としかけた人っすよね!?」
「そだよ」
シュンはケロリと答える。
「ていうか、シュンさんはそうじゃなくても俺らの学年で有名でしたよ。
あっ……!!」
リクはマナの存在を前に口をつむぐ。
シュンは、マナと付き合う以前、校内でとても存在感がある人物で、学年を問わず有名人だった。
女泣かせの遊び人だったのだ。
それゆえに、一部の女子生徒にはかなり恨まれていた。
シュンはリクの言おうとしたことを察し、
「今はマナ一筋だからっ」
と、マナを背後から抱きしめた。
「ちょっ!!
バカシュン!!
こんなとこでっ!!」
「だってリクが人聞きの悪いこと言おうとすんだもん」
シュンは甘々ボイスでマナにくっついた。


