しゃぼん玉


教室を出て校門に向かうまでの数分間の間、メイはそんな回想をしつつ校門へたどり着いた。

待ち伏せしていたのか、そこには宇都宮が立っている。

爽やかな微笑を浮かべた、スーツ姿の弁護士。

こうして足しげく通ってくれる宇都宮に対してメイは、少しだけ肩の力を抜くことが出来た。


この日も、宇都宮はいつものように、メイの心の声に耳を傾けようとする。

「メイちゃん、辛いと思うけどもう少しの辛抱だからね。

僕はメイちゃんの味方だから」

メイは嬉しくなった。

こんなに親身に話をきいてくれる大人は初めてだったから。


宇都宮は、

他人で、

男で、

大人であるから、

本来なら絶対に心を許せない相手のはずだが、弁護士という肩書きのおかげで、メイは宇都宮の親切を素直に受け、本音を話すことができていた。