しゃぼん玉


だが、高校生になった頃、リクはまたメイに会いに来るようになった。


メイに会えなかった三年間、リクはメイのことを忘れるため部活動に励んでいたのだが、そんなことをしても忘れることが出来なかった。


メイはちゃんと生活しているのだろうか。

栄養失調で倒れていないだろうか。

リクはいつもいつもそれが気がかりだった。

長いようで短かった中学生活の中で、リクは何度、穂積宅に行こうとしたかわからない。


サッカー部の活躍で目立っていたリクは、後輩の女子に告白されたこともあった。

メイを忘れるために、その子と付き合ってしまおうか。

その方が楽になれるのではないだろうか。

そう思ったこともあるが、

メイに恋する自分、
メイを助けたい心、

それらを捨てることは、どうしてもできなかった。

自分の気持ちを無視するのは、メイに「キモイ」と言われたことより、痛くて辛いものだったから。


女々しい男と言われても、かまわない。

高校入学と同時に、リクは再び、メイに会いに行った。

メイとの別れがなかったかのように、サラリとした会話を心がけて……。


メイもメイで、最近ますます横暴になった母親にうんざりしていたので、リクの親切を適度に受ける心持ちになっていた。