しゃぼん玉


初めて見るメイのセーラー服姿。

タバコは子供が吸ってはいけないものだと、リクも当然知っていたけれど……。


何を考えているのかわからないメイの横顔。

夜風になびく長い髪。

煙を吐き出す麗しい口元。

その全てに、リクは心を奪われていった。

見知ったはずのメイが、やけにおとなびて見えた。

赤い感情が、リクの全身をほとばしる。


「メイ、ご飯食べ行こうよ」

今まで通りに話しかけたはずなのに、その時は、声が若干高くなってしまった。

メイの顔をまともに見られなかったのを覚えている。


恥ずかしくて、

切なくて、

幸せで…………。


“メイが好きだったから、今までメイに会いに来てたんだな”

自分の恋心にやっと気付いた瞬間だった。

食事中、リクは目の前のメイに照れながらも、中学ではサッカー部に入ったと話した。

メイは相変わらず全てに対して無気力で、

「部活なんてダルイし無理」

と言っていたが、リクはそれすら愛しいと思った。

“これが、「幼なじみで女の子のメイ」の、全てなんだな”