しゃぼん玉


幼き頃のリクは、両親の愛情を信じていたがゆえに、両親の本音に気付くことはなかった。

ずっとメイを助けたいと思っていた。

長年持ち続けてきたその気持ちが、恋心なのだと自覚したのが13歳の春。


中学校に入学してすぐの頃。

学校帰り、リクはメイに会いに行ったことがある。

そんなことは初めてだった。

それまでは、

幼なじみとして、

メイの家庭環境を知る者として、

メイの暮らしを支えるべく、物品を与えるためにメイを訪ねていたのだが、

その時に限っては、急にメイに会いたくなったのだ。

“メイの顔が見たい”

そうして、同じく学校帰りのメイに会った。

制服姿のメイは、人目につかない路上でタバコを吸っていた。