一週間、こんな小さな体で、一人、空腹に耐えていたというのか……。
リクはまた、泣いた。
「ひどいよ、おばさん……」
それからリクはメイの手を引いて、所持金全てを使ってメイをファミレスに連れて行くことにした。
リクがメイをかまっていることに、リクの両親はいい顔をしていなかった。
なぜなら、買い置きしておいたインスタント食品は、メイにあげるためにリクが持ち出してしまうし、メイに食事をさせるため、リクは両親にお小遣いを増やすよう要求するようになったからだ。
リクの両親·正美と義弘は、随分とそれに悩まされていた。
息子のためなら何でもしてあげたいと思う。
家計が苦しいわけではないし、リクが望むことなら何でも叶え、与えてあげたいと思っている。
だが、リクは自分のためではなく、メイのためにお金や買い置きの食品を使ってしまう。
正美と義弘はそれが悲しかったのだ。
息子のために買い置きや小遣いを渡しているのに、なぜ他所(よそ)の子にそれを利用されなければならないのか。
だから正美は、リクにたびたびこう言い聞かせていた。
「メイちゃんはもう隣の家の子じゃないんだから、リクも、そんなしょっちゅう会いに行くことないのよ?」
だがリクは、聞く耳を持たず当然のようにそれを無視していた。


