リクはそんなメイを見て、
“新しい小学校では周りとうまくやっているんだな”
と、思っていた。
一見、穏やかな学校生活に身を置く一方で、メイは相変わらず、単独で万引きや置き引きを繰り返していた。
リクはそれを心配し、土日にメイを訪ねる時には、必ずインスタント食品を持参してメイに渡していた。
「ごめんな、これしか家になくて……。
ナマモノだと腐っちゃうから……。
できるだけたくさん詰めてきたんだけど、やっぱり少ないよな……」
「食べ物なら何だっていいよ。
給食があるから、夜ご飯なんて食べなくても平気だし」
何も映っていないような瞳の色をさせ、メイはリクが持ってきたカップ麺を受けとった。
だが、翔子に見つかると、それらは全て奪われた。
「私はあんたのために働いてんだから、そのくらいよこしなよ!
あんたは子供で体小さいんだし、学校で給食食べてんだから、こんなの必要ないでしょ!」
「………………」
翌週。
メイに会いに行き、リクは尋ねた。
「ラーメン食べた?」
「お母さんに全部取られちゃった……」
給食以外何も食べていないのか、メイの顔色はものすごく悪い。


