しゃぼん玉


転校先の小学校で、メイはおとなしくなった。

何のアクションも起こさない子供。

自分から他人に関わることは、一切なかった。

そうしないと傷つけられると思ったから。

それと同時に、自分を出さないようになった。


親が離婚したことで家も引っ越さなければいけなくなり、小学校も転校することになったが、引っ越し先の借家と今まで住んでいた家は、距離的にそう離れてはいないらしい。

ゆえにリクは、メイが引っ越した後も、土日の休みには毎回メイに会いに来た。

完全に人嫌いになったメイも、唯一、リクには自分を出せていた。


新しい小学校では、おとなしくしていたおかげなのか、行動を共にできるような生徒を数人得ることができたが、メイは誰のことも友達だと思えなかった。

みんな笑顔でメイに話しかけてくるし、給食のおかずを交換し合ったりもするし、体育でも同じグループになってワイワイしていたけど、

どの子の笑顔も信じられなかったし、なりより、

“この子達は、本当の私を知らないんだよね”

そう思うと、彼女達と自分の間にある壁は大きくなるばかりだった。

しかし、メイは多くを望まなかった。

一人ぼっちにならないだけマシだった。

気を許せる相手でなくてもいい。

自分をさらけ出せる相手でなくてもいい。

孤独感を紛らわすことができるなら、それでよかったのだ……。