それからメイは、教室には戻らず自宅の近所をさまよい歩いた。
ボロボロになった衣服とボサボサの髪の毛で、真っ青になった頭を抱えていた。
とにかく学校から遠ざかりたいと、幼い足で必死に歩いた。
本当は走りたいけれど、さきほど殴られた痛みで歩行すら危うかった。
かといって行く宛てがあるわけでもないので家に帰りたくもなったけど、結果帰れなかった。
離婚の話が持ち上がってから、翔子はさらにピリピリしている。
そんなところにこんな身なりで帰宅すれば、火に油を注ぐ事態になるのは目に見えていた。
「何この格好!
間抜けね!
学校に戻りなさい!」
……必ずそう言われるに決まっている。
この日、メイを真っ先に心配したのは、幼なじみのリクだった。
昼休みの途中から姿を消したメイを気にしていたリクは、学校が終わり次第、メイを探して近所を走り回っていたのだ。
メイは自宅近くの公園にいた。
山の形をしたモニュメントの裏に隠れていたのである。
「メイ……!」
メイを見つけた喜びや安堵感と同時に、リクは彼女の格好を見て仰天した。


