不揃いになった毛先を見て、メイは視界がぼやける様を感じた。
しとりしとり、と、こぼれる涙。
この時流した涙の感触と、ベタリとした汗の気持ち悪さは、一生忘れることができないだろう。
そんなメイを見て同情する者は一人もいなかった。
むしろ、メイの泣き顔を見てみんな満足そうに笑っている。
「恨むなら今までの自分を恨みなよ?
私達は今まで、あんたのすることに耐えてきたんだから!」
“私が、みんなにしたこと?
恨むなら私を恨め……?”
メイは傷ついた体と心を使い、皆が言いたいことを一生懸命理解しようと頑張った。
でも、わからない。
自分の何が悪かったのだろうか。
家の中だけじゃなく、なぜ学校でまでこんな目にあうのか。
恐怖心から肩を細かく震わせるメイを見て、その場の誰かがこう言った。
「あんた一回死ねば?
人間のクズだし。
生きてる価値ない」
“――――――――――――――――”
この言葉はメイの精神を破壊した。
翔子の暴言によって付いた数え切れない生傷を化膿(かのう)させたかのように、痛烈な痛みをメイに与えた一言だった。


