蝶が見る夢

放課後の職員室は先生達がそこここでざわめいていて、落ち着かない。
頭の中は、早く終われと念じる他に考えることがない。


『西尾さん、英語は成績悪くないのに、理系科目になると途端に点数落ちるでしょ?』

『…はあ』

『まだ1年生なのに、これじゃあちょっとあまりにも…』

『ええ』


私のやる気のない返事に、担任は痺れを切らしたように、机に広げられた紙類をまとめ始めた。
ようやく解放される――私は担任に気付かれないよう、鼻で小さな溜息を零す。
担任は嫌いじゃない。嫌いじゃないが、心を許しているわけでもない。
それは担任だけでなく、誰に対してもそうだ。


『西尾さん、もうちょっと頑張ってみよう?ね?』


女の人特有の甘い声で、担任はねだるように最後に言い残した。















もう駄目だということは、自分が一番よく分かる。