誰が教えてくれたでもなく、自発的に調べたでもないというのに、私はその手段をきちんと知っていた。
始めはシャーペンで。癖になる頃には、安物のカッターナイフで。
嫌なことがあれば、学校から帰ってくるとすぐに、自室に篭ってリストカットを繰り返した。
生温く、どろりとした粘着質の血液が肌を這う感覚は、なぜだか落ち着く。
ようやく、胸につかえる何かがアウトプットされて、深い安堵の溜息が零れる。
それと同時に、何とも言えぬ虚無感が傷口から染み入るようだった。
『……キライだよ……』
頬を滑り落ちる涙が熱かった。
『いやいや、流石に2点って…ねえ?』
『…はあ…』
目の前の担任の苦笑いに私はどう答えていいか分からず、机の下で手を組んで気のない返事をした。
職員室の片隅の長机、その上には私の期末テストと進路希望の用紙。
始めはシャーペンで。癖になる頃には、安物のカッターナイフで。
嫌なことがあれば、学校から帰ってくるとすぐに、自室に篭ってリストカットを繰り返した。
生温く、どろりとした粘着質の血液が肌を這う感覚は、なぜだか落ち着く。
ようやく、胸につかえる何かがアウトプットされて、深い安堵の溜息が零れる。
それと同時に、何とも言えぬ虚無感が傷口から染み入るようだった。
『……キライだよ……』
頬を滑り落ちる涙が熱かった。
『いやいや、流石に2点って…ねえ?』
『…はあ…』
目の前の担任の苦笑いに私はどう答えていいか分からず、机の下で手を組んで気のない返事をした。
職員室の片隅の長机、その上には私の期末テストと進路希望の用紙。



