蝶が見る夢

もっとも、その程度では匠の根本的な解決にならない。
匠はすとんとベッドの淵に腰を下ろし、天井の隅の方を見上げるような遠い目で、


『こんなに健全な女の子が、どうしてリストカットなんかに勤しんでいたのかねぇ?』


ぼそっと呟いた。
そこに悪意は片鱗すら感じられず、あくまでもそれは匠の素朴な疑問でしかない様子だった。
ぽかぽかの日だまりの中、匠の周りの空気だけが妙に浮いている。


『今の匠がそれを言うかな…』


思春期に陥る落とし穴というのは、単純で深い。















どうして私は生きているんだろう。
そんなシンプルな愚問を抱いたのは、いつからか。
勉強だってできない。
運動だってできない。
取り柄と呼べるものは何一つ無いのに、美人でもなければ、可愛くもない。