挙げ句、お気に入りのマリアージュ·フレールの茶葉は先週帰ってきて一人で飲みきってから切らしたまま。
だから、お茶を出したい気持ちはあっても、出せるお茶がない。


『万年カーテン閉め切りっぱなしのお宅に比べれば、そりゃあ』


私は、寝る時以外はカーテンは常に開いていた方が好きだ。
匠の部屋のカーテンや窓が頻繁に開けられるようになったのは、私が匠の家に住み着くようになってから。つまり、付き合ってから割とすぐに。
不規則な生活で眠る時間帯も日によって違うから仕方がないと目をつむっていたのはほんの数日、やはり人間は日の光に当たらないことには活動できないと堪らず家中の窓を開けた。
それまではもやしでも栽培しているのかと突っ込みたくなるほどに薄暗く、じとっとしていた。
だから今の匠は四六時中暗いのだ、と。